前回小5の2学期の算数は要注意!という内容を書きました。なぜかというと、ここでコケると中学校に入ってから苦労するからです。

なぜ苦労をするかというと、中学校で学習する内容は基本的に小学校でその下地的な内容を学習しているので、そこが出来ていないということは、中学でその単元を勉強し始める時点で、すでにハンデがある状態、マイナスからのスタートになっているからです。

小学生に理屈を完ぺきに理解させることはなかなか大変だと思うのですが、少なくとも作業として体が覚えているくらいにしておくだけでもだいぶ違ってくるはずです。

そんなわけで、今回は中学に向けて小6の2学期算数の学習について、気を付けておいてほしいことをお話しします。

「場合の数」は2つの考え方を区別!

学校によっても違いますし、今年は若干遅れているので進度が読みにくいのですが、現在は「場合の数」あたりでしょうか。

「場合の数」はさらに「ならべ方」と「組み合わせ方」の2つに分かれます。

場合の数は中学校では2年の1番最後にも習います(茨木市では)ので、その下地作りになるわけです。中学では場合の数からさらに「確率」へと学習が進み、さらに言うと高校1年生の1学期に「順列、組み合わせ、確率」として学習していきます。

中2の時にも苦労するのが「ならべ方」と「組み合わせ」の違いの見極めです。

何が違うかというと「順番」や「役割」を与えて区別しているかどうかの違いです。

例えば「A,B,C,Dの4人でリレーをします。走る順番は何通りですか。」という問題と「A,B,C,Dの4人から掃除当番を2人選びます。選び方は何通りですか。」という問題、ならべてみると違いはすぐわかると思うのですが、最初の問題は「順番」があるので「ならべ方」で、この場合A,BとB,Aは別の意味になります。

それに対して2番目の問題は特に順番は関係ないので「組み合わせ」です。掃除当番がA,BだろうがB,Aだろうが違いはないので同じこととしてカウントします。

場合の数は図(樹形図や総当たりの図)を書いて考えると見落としがなくなりますが、「ならべ方」と「組み合わせ」で書き方が違ってくるので正しく区別をつけることが大事です。

とにかく自分で図が書ける子になろう!

5年生の話でも書きましたが、「図を書いて考える」ことがとても大事です。図も書かずに「わからへ~ん」などというのは論外!でも多いんですよね~、そういう人。

いきなり「図を書けばわかるやろ」と言われても小学生は動けません。まずは大人が書いて見せて、次に「言われたとおりに書いてみ」、で最後に「自分で書いてみ」という段階が必要です。

自信を付けさせるために、さっき一緒に書いた問題と同じ問題を自分一人で書かせるのもいいと思います。

「比」と「割合」

次に気になる単元は「比」です。

比とは割合を表すものです。…5年生の2学期の話には出ませんでしたが、3学期に学習する「割合」、これはつまずく単元ナンバーワンと言っていいでしょうね。

そもそも子供に「割合」の概念を伝えるのは至難のわざです。

しかし、図説を駆使して、なるべく苦手意識を持たせないようにしておきたい単元ですね。

何せ生活に直結しますから。みなさん「〇割引」ってことば、大好きですよね?

買い物の時に「500円の豚肉のパックが3割引きで、600円のほうは4割引き、どっちがお買い得?」となった場合、生徒たちを見ていると、このまま大人になっても分からないんじゃないかと思うことがあります。

実際に割合の勉強を嫌がる中学生女子に「買い物の時どうするの⁉」と聞いたことがあるのですが、「その時は店員さんに聞く」と返されてしまいました…ふう

店員さんんも言えなかったらどうするんだろ…

閑話休題、時をもどそう

おっと、今は比の話でした。

比の考え方は中学に入ってから、数学の文章題だけでなく理科の計算問題によく出てきます。高校入試問題の理科の計算問題は比の考え方が分かってないと解けない問題が非常に多い。

理屈が無理なら作業からかためるべし!

比の意味を理解するのは難しいかもしれないので、せめて基本的作業は出来るようにしておくといいと思います。

1つは「比をできるだけ小さい整数に直す」ことです。

これは両辺を同じ数で割ったり掛けたりして求めます。

例えば1.5:1.8ならば、まず整数に直すとために両辺に10をかけて15:18にします。それから両辺を3で割れば5:6と一番小さな整数の比になるわけです。

ここで必要なのは約分で必要な「最大公約数」の考え方です。

もう1つは「等しい比の式で、ほの一方の数を求める」ことです。

例えばこんな問題です。

2:3=4:X

小学生の場合は「2が4になるには2倍だから、3も2倍してXは6」となるのですが、ややこしい場合は中学でやる考え方(内側どうしと外側どうしをかける)を教えてしまい、楽に求められることで安心させてから、小学校のやり方も練習させるといいと思います。

どちらも計算なので、とにかく数をこなして慣れていくことが大事です。

比の単元はまずは計算の方をしっかり固めて、安定したら文章題にチャレンジしてみましょう。