早く決まるにこしたことはないけれど…

9月に入り、高校では指定校推薦…おっと名前が変わったのですよね、「学校推薦型選抜 指定校制」が動き始めました。

学校推薦型選抜、もう一つの方式「公募制」もぼちぼち出願の動きが出始める頃です。

今年の公募制の動向は?

「大学入学共通テスト」元年の今年は早いうちから「安全志向」が強まることが予想され、「行きたい大学」よりも「行ける大学」へシフトする生徒が多いだろうと言われています。

かてて加えて「コロナ休校」です。学校の授業が2か月ストップしていた学校が大半で、さらに大学入試への不安が増しています。

当然、「出来るだけ確実に、なるべく早く決めてしまいたい!」と思う受験生が増えるでしょう。

そのこと自体は当然のことだし、気持ちもわかるので、とやかく言うつもりはないのですが、出願前にちょっと一呼吸おいて落ち着いて、公募制を受けるということについて考えてみてもいいのでは、と思うのです。

ゴールの設定に注意!

毎年大学受験が本格化する前に必ず「50メートル走と100メートル走」の話をします。

大学入学者の約半数近くがいわゆる「推薦入試」で入ってきている昨今です。公募制で早く決めたいという気持ちはよくわかるし、決まったらそれはめでたいことです。

しかし、皆考えることは同じで、ダメでもまだあと(一般入試)がある気軽さからも公募推薦の倍率は高くなります。

だからこちらも「公募に期待しすぎるな!」と言い、その時は生徒たちも「わかってるって~」と謙虚に受け入れます。

が、人間というのは不思議なもので「公募で受かればいいな」が「受かるかも」になり「絶対受かりたい!」になっていくのですよね。

期待の大きさ=ダメージの大きさ

もちろん、受けるからには「受かりたい」「受かるぞ」という気概がなくては困るのですが、「受かるぞ!」という気迫ならばまだしも「受かるにちがいない」という都合のいい期待になってしまうと、失敗した時にダメージが大きい。

公募がダメだということは一般に向けて準備が必要ですが、受かる期待が大きければ大きいほど気持ちを立て直すのに時間がかかります。

説明すれば生徒も納得はしますが、感覚的にはピンとこない。

だって、高校入試で「落ちる」という経験をする生徒は少ないですから。

そもそも、落ちた時のことをリアルに想像したくはありませんよね。

ゴールだと思ったのに~っ

そこで「50メートル走」の話です。

50メートル走のつもりで走っていて、ゴール近くで「やっぱ100メートルね」って言われたらどうします?

50メートル先にゴールがあると信じて全力疾走していたんですから、さらに50メートルなんて走れません。

泣くに泣けない。でも止まるわけにはいかない。息切れ、足のもつれ、何より気持ちがもたない…

でも、最初から100メートル走のつもりだったら、50メートルでゴールがあったらあったでラッキーですし、もちろん100メートルも走り切れますよね。

もう一度「大学を受けるということ」を考えてみる

公募制は大学入試の大きなチャンスであることは確かです。

しかし、大学入試は本来「早く決まるかどうか」ではなく「どこに入って何をするのか」が大事なのですよね。

新しい制度、まだ続くコロナ禍。不安な気持ちはわかります。

大学がすべてだともいう気はありませんが、人生の大きな分岐点ではあると思います。

公募制を一つのチャンスとして活用するのはOK。受験準備の遅れは否めなせんが、現役生は皆同じ条件です。

受けるからには準備はしっかりと、しかし根拠のない甘い期待は捨てて、冷静に公募の先も見据えた勉強も心掛けてください。