非受験小学生模試のススメ

小学生のお母さまからの声

先日、小学生のお子さまをお持ちのお母さまから

「受験を考えているわけではないが、今どの程度理解しているのか知りたい。そういう模試の受け方はできませんか?」

という問い合わせがありました。

小学生が模擬試験を受けるというと、どうしても中学受験に直結しがちですが、いわゆる「力だめし」としての使い方も大いに「あり」だと思います。

本当に小学校の勉強には問題がなかったの?

中学生の入塾面談時に必ず

「苦手な科目は何ですか?いつから苦手になりましたか?」

ということを伺いますが、大抵の方は

「小学校のテストで苦労したことはないのですが…」

とお答えになります。

小学校と中学校では授業のスタイル(学級担任制から教科担任制へ)や、テストの受け方(単元ごとから定期テストへ)が変わり、勉強面での難易度は確かに上がると思います。

しかし、「中学校になって急に勉強が難しくなった」ことだけが中学に入ってわからなくなる、テストの点が取れなくなる原因なのでしょうか。

100点取れて当たり前⁈小学校のテスト

小学生のテスト(いわゆるカラーテスト)は100点が取れて当たり前とよく言われます。

確かに低学年では「当たり前」かもしれませんが、学年が上がるにつれて「当たり前」とまでは言えなくなるはずです。

高得点しやすいのは事実

それでも、小学校で実施されるテストはそれほど苦労せずに高得点が可能です。

なぜなら、小学校のテストは単元が終わってすぐに、その単元に限定した問題が出題されるから。

例えば算数の「わり算」の単元のテストならば、わり算の計算だけを解けばいいし、応用問題と言ってもわり算を使っての文章題のみです。

小学校のテストは学力を計るものというよりは、授業で説明されたことを実践できるかどうかの確認みたいなものというべきかもしれません。

小学校の成績(通知表)、真ん中なら安心?

現在小学校の成績(通知表)はABCだったり◎〇△だったり学校によって違いますが、3段階評価が基本です。

成績の基準が変わったことご存じですか?

ちょっと余談になりますが、2020年に教科書改訂が行われ、「興味・関心」「思考・判断」「技能」「知識」の4つの観点で成績をつけていたのが、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点に変わりました。

あまり意識されていないかもしれませんが、実は項目の順番にも意味があり、一番最初に来ているものから順番に“重要視”されているのです。

つまり、今まで小学校では「勉強に興味・関心を持たせること」が一番大事だとされ、指導されてきたところが、昨年からは「知識・技能」、つまり基本的な学習内容の習得が一番大事になったのです。

小学校教育、そして小学生に求められるもののハードルが上がったといえます。

学校現場がどれほど変化しているのかは、保護者様方のお話を伺う中ではまだ見えてきませんが、国の方針、意図は知っておいた方がいいでしょう。

成績のつけ方

さて、3段階の評価に話を戻します。

それぞれの観点を3段階で評価されますが、評価は「絶対評価」が基本です。

小中学校が絶対評価に移行したのが2002年、いわゆる「ゆとり教育」からと言われていますから、小学生の保護者様にも絶対評価世代が入り始めてきているかもしれませんね。

絶対評価とは、「クラスで上から〇%はA」という相対評価とは違い、生徒一人ひとりの到達度に基づいて評価するもので、平たく言えば「〇点以上取ればA」と順位に関係なく評価されます。だから基準点に全員達していれば全員Aにもなるわけです(理論的には)。

3段階の基準は

100~90→A(◎とか「大変よくできました」)

89~60→B(〇とか「よくできました」)

59以下→C(△とか「がんばろう」)

この基準は国で決められているものではなく、学校ごとで決められているので、Bが89~70、Cが69以下というところもあるようです。

成績の「真ん中」は平均とは限らない

「知識・技能」(と「思考・判断・表現」の一部)は単元別のカラーテストの点で判断されるわけですが、先ほども言った通り、テストは点が取りやすいので59点以下でCがつくことは稀です。

ある学校の3段階の内訳は

A:18% B:80% C:2%

だったそうです。

つまり100人生徒がいたとして上位19番目から98番目まではBがつくことになります。

Bは真ん中=平均である

とは到底言えませんよね。

小→中のギャップはここにある!

テストのちがい

小学校のテストは単元ごとに行われるのに対し、中学校は多くが年5回の定期テストで複数の単元をいっぺんにテストします。

単元ごとだと昨日まで授業でやっていたことがテストに出るのですから、忘れることもなく、しかも出題される単元は一つなのでやるべきことが決まっています。

それに対して定期テストの場合、1~2か月前の内容も出題されますから、毎日新しいことを勉強していく子供たちにとって、最初のほうにやった単元は記憶のかなたになります。

いくつかの単元が混在しての出題の場合、どの単元からの出題なのかを判断する必要もありますし、一つの問題にいくつかの単元の要素が入っている複合問題もあり得ますから、何段階かに分けて思考、処理をしていく力が必要です。

小学校の時にテストで困らなかったから中学のテストも大丈夫とは言い切れないわけです。

成績表のちがい

成績は小学校の3段階に対して中学校は5段階が主流です。

中学校も絶対評価ですから、達成率によって評定が決まります。

基準は小学校と同じく学校ごとで違いますが。大体こんな感じです。

90%以上→5

80%以上→4

50%以上→3

20%以上→2

19%以下→1

小学校の真ん中Bが60点以上だとして、

「じゃあ、50%以上の3は取れるでしょう」

とはなりません。テストの難易度が違いますから。

小学校の成績が真ん中なのに中学では「1」⁈

先ほど出した小学校での3段階評価の例で、100人中98番目までが真ん中とされた評価が、そのまま中学校の5段階に反映されるとは到底考えられません。

ある中学校が公表した5段階評定の内訳を参考にすると

5:13.5% 4:25.5% 3:46.6% 2:11.2% 1:3.2%

先ほどの3段階の内訳を出した小学校と同じ地区ではないので、比較するのは本来無理がありますが、あくまでもイメージとしてとらえてください。

小学校でAをとっていた生徒は全員が中学校で5を取れるわけではなく、同じく小学校でB、つまり真ん中と評価されていた生徒でも中学校では2に、いや下手すると1になる可能性があるわけです。

小学校の学習を中学校につなげるために

「小学校のテストや成績を信用するな」と言っているのではありません。

1つの単元が終わるごとに定着を確認することは大切ですし、小学校の成績表は「知識・技能」の重要度が高まったとはいえ、学習への取り組みの姿勢や、成長の度合いを見ていくものとして必要です。

非受験の小学生にとっては、カラーテストや成績表は自分の頑張りが形として見える貴重な「ものさし」ですから、一喜一憂もしますし、高い評価が出たら褒めてもらいたいものです。

親御さんは1回1回のテストや成績に一喜一憂せず、いい点数、いい評価は褒めてお子さまの自信ややる気につなげるツールとして上手に使うべきです。

それとは別に、本当の意味での学力を試し、学力をつけていくためには、複数の単元がまとまったもの、国語は初見の文章を扱ったものを定期的にお子さまに解かせることをお勧めします。

受験しなくても模試は受けていいんです!

市販のまとめテストを使っておうちでやってみるのももちろんいいと思います。

しかし、お家だと甘えが出たり、時間制限があいまいになったりするので、たまには模擬試験を受けてみるのもアリですよ!

というわけでここからコマーシャル  ←今回の開催は締め切りました。

今回お申込みいただいた方もおりましたので、これから定期的に実施していくことにします!

次回は冬休み明けの1月下旬~2月上旬(小学生にとっては比較的に余裕がある時期かと思うので)を考えております。

11月16日、18日に今回は国語と算数限定で小学生模試を実施します。

塾生、塾生のご兄弟、塾外生も受け入れ可能です。

塾内生、ご兄弟のお申し込みは各教室のLINEでお申込みを、塾外生の方は下のボタンからLINE登録をお願いいたします。(英検受験で登録済みの方はそのまま使えます!)

私立中学の合格判定もできますが、あまりハードルを上げずにあくまでも「力だめし」として気楽に受けていただきたいと思っています。

中学になって急にわからなくなるわけではない

大切なのは今何ができていて、何ができていないのかをはっきりさせ、できていないところを復習するという習慣を作ることです。

中学になってわからなくなったり、点がとれなくなったりするのは、むずかしさももちろんありますが、それだけではなく

「小学校で学んできたことを忘れてしまっている」

「単なる作業としてこなすだけで理解が中途半端だった」

ということも十分に考えられます。

中学に入り勉強、生活様々なことが変化することで、今まで見えていなかった問題点が誤魔化し切れずに、一気に表に現れることもあると思います。

当たり前すぎて締めくくりとしてドヤ顔で言うことではありませんが、それでもやはり言わずにいられない!

小学校の勉強は小学校のうちに!

それが中学校の勉強、ひいては高校受験で結果を出す土台となります。

  

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