気乗りのしないお誘いがあった時、あからさまに「行かない」と言える人はそうそういない。

相手を不快にさせず、自分も前向きな姿勢を見せられるよう「行けたら行くね!」と、とりあえず言っておく…けど行ったためしがない。

最近はこの「行けたら行く」が「多分行かない」を意味することも世間に浸透しているので、言われた方もわかっちゃいるけど「うん、わかった。待ってるね!」とあまり落胆しない。

社交辞令・・つきあいをうまく進めるための儀礼的な誉め言葉やあいさつ。

確かに、「行けたら行く」の一言でその場の空気が悪くならないで済む。

険悪なムードをまるくおさめる魔法のことば「次はがんばる!」

テストの結果が良くなかった時、努力不足を大人たちから責められてうなだれたあと、たいてい子供は「次はがんばる」と力強く宣言してくれます。

もちろん「がんばる」と言ったその瞬間の気持ちにウソはない…と信じたい。

これを言っときゃ何とかなる

子供は宣言したことでその場の気まずい空気から逃れること出来ることを知っています。無意識かも知れませんが。

それは、大人の方が「がんばる」の一言を聞いて安心する、気が済んでしまっているのが伝わっているからかもしれません。

その場しのぎの方便であることは大人もどこかでわかっていながら、「がんばってほしい」という願望に賭けてしまうのです。

衝突は回避できても問題は解決しない!

家の中のこと、毎日のことだから、衝突して空気が悪くなるのも嫌だから、親子して阿吽の呼吸で「社交辞令」めいた儀式が繰りひろげられる。

でもこの「がんばる宣言」の儀式を何度続けても、問題は解決しません。

「がんばる」は大人が言わせているとも言える

これは単純に

「子供のその場しのぎのウソを信じるな」

と言いたいわけではなく

子供に「がんばる」と言わせて終わりにするということは、すべてを子供に丸投げしている大人のズルさもある

とも言いたいのです。

誰あろう自分の中にそのズルさを感じることがあるから言うのです。

大事なのはがんばるの具体化

「がんばる」宣言そのものは悪くはありません。その気持ちを大いにたたえるべきです。

その後に必ずそのがんばりを「具体化」させることが大切です。

「何を?」「どれくらい?」「いつ?」「目標は?」

あっ、詰問してはいけません。

ひとつひとつ子供の言葉を待ち、引きだしながら、今回の結果の原因を、次に同じことを繰り返さないためにはどうしたらいいかを考えさせて言葉にさせるのです。

出来ないことは教える ないものは身につけさせる

「そんな時間ない!」

そうですよね、大人は忙しい。

でも、子供が自動的に自主性や計画性を身につけることはありません。

目の前の問題を大人が本気に解決しようとする姿勢を見せなければ、子供はその場しのぎの、その子の将来にはまったく役に立たない“社交辞令”を言い続けることになるのです。

ケンカを避けるためにあらかじめスケジューリングをしておく

子供と話すときは前もって時間を作っておいた方がいいでしょう。仕事と同じように、前もってその時間は何もいれないようにすればいいのです。

この1時間は子供の話を聞くだけ、と思えばイラつきも半減します。

子供に考えさえて、言葉を引き出すにはめちゃくちゃ根気が必要ですよね。忙しいなか5分、10分で話そうとすると、イライラしてしびれを切らせ、大人が強引に結論を出してしまいがちです。

で、子供はふてくされ、結果的にケンカになる。

結局険悪なムードになるわ、自主性も計画性も育たないわで、こっちもいやになってしまいます。

まずは「やってみなはれ」で

時には突拍子もないことを言ってくるかもしれませんが、考え出したことをたたえてとりあえずやらせてみることです。

ただし、その場で「やってみて結果が出て、うまくいかなかったらまた考えよう」ということを約束してください。

結果が出なかったら、その方法にまだ改良の余地がある、または他の方法を考えてみる必要があるのだということを子供にわからせる必要があります。

“トライ&エラー”のスピリッツを育てよう!

子供は「これさえやればものすごい結果が出る!」と大きな期待に胸膨らませます。

でも実際は一発で結果は出ません。試行錯誤という概念も教えていかなければなりません。

そうしないと「がんばったのに…。何をやっても無駄だ!」と逆ギレ…

何をやってもって…まだ1コしかやってないやん。

結論の飛躍は子供のお家芸、大人にとってはこれも無意識な「出来ないこと」への言い訳なのですが、子供からすれば、ものすごく傷ついており、痛さから身を守ろうと必死です。

失敗しても大丈夫。大事なのは何が問題なのかを考えて、次の一手をとることだ!

と、大人がちゃんと教えなければ子供に諦めグセが付いてしまいます。

「子供しかるな、来た道だ」

「なんと手のかかる…」

全くその通りです。でも自分も決してひとりで育ってきたわけではない。

子供は、大人になってしまった私たちには到底理解の出来ない「その場しのぎ」「行き当たりばったり」「すぐ諦める」「何度言ってもわからない」ワケのわからない生き物です。

だってそれが「子供」だから。

せっかくの「がんばる」という言葉をその場しのぎにしない

毎回時間をかけての話し合いは難しいかもしれませんが、「がんばる」という言葉や気持ちは行動にしなければならないことを、多少時間がかかっても子供に伝えていきたいものです。