高まる人気とコロナ禍での受け入れ態勢

コロナ禍で街中、大会場での受験は保護者様としては心配です。また、感染防止の観点から、高まる英検人気に対して安易に会場を広げていくわけにもいきません。

会場の場所やキャパシティー、日程などで従来型(一般的な会場受検)のチャンスを逃してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

8月正式に、英検をはじめとする外部検定試験の大学入学共通テストへの導入は見送られるという発表がありましたが、その一方で大学入試や高校入試においては、出願資格条件や加点、点数置き換えなどの優遇措置に外部検定試験が活用される動きがますます高まっています。

受験希望者をなるべく広く、安全に受け入れるべく、英検協会が実施するキャンペーンに度肝を抜かれました。

今年限定?のキャンペーンにびっくり!

それは、英検S-CBTの従来同一回2回までという受験回数の制限を、今年の第2回検定(8~11月)は最大5回まで受験できる!というものです。

特に入試を控えた受験生にとっては朗報ですよね。

とはいうものの、「S-CBT⁈ 何それ?」という方もいらっしゃるのでは。

従来の会場受検(従来型)との違いを簡単に説明しておきます。

受験できる級

従来型は全級受験可能ですが、S-CBTは3級から準1級のみとなります。つまり、5級、4級と1級を希望されている方は従来型での受験となります。

試験日程

従来型の場合、本会場であっても、準会場であっても年3回、決まった日時に受験しなければならないのに対して、S-CBTは複数ある中で自分の希望した日時を選べます。基本的には土日祝に開催されることが多いのですが、時期や会場によっては平日も受験可能です。日程変更も出来るそうです。

また、従来型は4技能のうち、まず「リーディング」「ライティング」「リスニング」を1次試験として受験して、それに合格した人だけが後日2次試験で「スピーキング」を受験します。それに対してS-CBTは1日で4技能を受験します。

試験方法

従来型の1次試験はすべて筆記(リーディングとリスニングはマーク式)ですが、S-CBTのリーディングとリスニングはPCを使って該当番号をクリックします。ライティングのみ、PCを使ってのタイピングか手書きのどちらかを選ぶことが出来ます。

従来型のスピーキングは面接官と直接会話をしますが、S-CBTのスピーキングはPCを使います。事前に録画された動画を見ながら声を吹き込みます。

1次試験免除

従来型で1次試験は受かっても2次試験の面接(スピーキング)で不合格になってしまう場合があり、そのような場合次の回では1次試験の免除を申請し、2次のみの受験が可能です。

今年の8月受験より、S-CBTも1次試験免状が出来るようになりました。これはS-CBTだけでなく、従来型で取得した1次試験免除資格も使えます。

そして、従来型は2次試験が不合格だった場合次の回を待たなければならないのに対して、S-CBTは日程さえ合えば日を置かず同じ回でも2次のみ、つまりスピーキングのみの受験にチャレンジできます。

受検の回数制限

従来型は先ほども書いた通り、年3回、つまり各回1回しか受けられませんが、S-CBTは同一回で2回まで受験可能です。同じ回でも従来型とS-CBTは別扱いになるので、例えば第2回の従来型を1回受けて、第2回のS-CBTを2回受けることが可能なので、最大で3回のチャンスがあるわけです。

そして、今年の第2回に限りS-CBTは5回まで受けるチャンスが出来たので、従来型も合わせれば6回(!)受験が可能です。まあ、体力、精神力そして財力があれば、ですが。

その他注意点

従来型とは違い、S-CBTは現時点では個人受検のみに対応しています(つまり団体料金がない)

また、第2回の受験チャンスは増えましたが、合否発表(Web公開)の日程は早くはなりませんので、多く受けるには結果を待たずに受験申込をする必要があり、受ける必要がなくなっても返金はありません。

従来型とS-CBT、どっちを受けたらいいの?

難易度について英検協会は同じであると言っています。

人によるかもしれませんが、スピーキングはS-CBTの方がリラックスできるのではないでしょうか。やはり、面接官を前にすると圧がすごいというか、緊張しますよね。

経験者に聞いてみた

8月にS-CBTの2級を受けて、みごと合格した中3の生徒さんに「S-CBTと会場受検どうちがう?」と聞いてみました。

リーディングはPCでクリックするだけなので、マークシートを塗りつぶす時間が短縮できて、しかも後で見直したい問題にはチェックを付けることができて、便利だったのだそうです。

スピーキングは周りに同じく吹き込みをしている人がいるので、ひとりじゃない安心感もあるし、PCに向かって話すときは「変なことが言えない」という気負いもなくハキハキと話せたとのこと。PCの中の人がつねに頷いてくれているので、心強かったと(笑)

リスニングも個別で音量調整も出来、周りの雑音が入りにくいので集中して聞けたと言っています。

タイムリミットがある人にはオススメ!

ただし、S-CBTの試験会場となるテストセンターは大きな街にしかないので、特に小中学生にはコロナが落ち着くまではそれほど積極的にお勧めできませんね。特に急がないのであれば、従来型の出来れば家から近い準会場受験をお勧めします。

逆に大学受験や高校受験で英検の資格が必要な方にはめったとないチャンスですし、日程選択や試験方法の利便性は魅力的です。今年中に英検資格が欲しい方は、是非ともチャレンジしてみてください!